ナスは、支柱立てと水やりの頻度が肝心な野菜です。この記事では、栽培の準備から苗選び、ニラとの混植、支柱立て、追肥のタイミング、収穫のコツ、病気や害虫対策まで、10のポイントに分けて栽培実績をもとにわかりやすく紹介します。
記事の写真は、すべて私が撮影したものです。2021年は5月3日にニラと一緒に苗を植えつけ、5月23日に一番花を摘み、6月6日に3本仕立ての誘引をして、6月25日に収穫の写真を撮りました。
結論:ナスを長く収穫する5つのコツ
- 苗は接木苗を選び、関東ではゴールデンウィーク頃にニラと一緒に植える
- 一番花は摘み、主枝と側枝2本の3本仕立てにする。支柱は植えつけ前に1本、2週間〜1ヶ月後に2本足す
- 水が大好きな野菜。朝か夕方の涼しい時に水やりを続ける。水が足りないと実のつやがなくなる
- 花を見て追肥する。めしべがおしべより短く隠れる花が増えたら、肥料や水が足りないサイン
- 実は大きくしすぎない。開花から15〜20日が収穫の目安。夏に株が疲れたら切り戻して秋ナスを待つ
ナスは「水で育つ」と言われるほど水を必要とし、肥料もよく吸う野菜です。花のめしべの長さを見れば、足りているかどうかが分かります。私の畑で撮った花の写真3枚と、3本仕立ての誘引の写真で順に紹介します。株が急にしおれる、葉が網の目に食べられるなどの病気と害虫は、記事の後半で表にまとめました。
ナス栽培10のポイント

ナス栽培を管理していくうえで、必要な情報をまとめてみました。
次に紹介する10のポイントをおさえていけば、失敗する確率は低いと考えています。
ナス栽培の準備をしよう
用語や必要な知識については、野菜づくりの知識の中でそれぞれ詳しく解説していますのでご覧ください。
簡単用語解説
平畝(ひらうね):高さが5cm〜10cmの一般的な畝
1条植え:1列で野菜を植える
2条植え:2列で野菜を植える
畝幅:野菜を植える床の幅
株間:野菜の苗と苗の間
支柱:野菜苗の茎やツルを這わせたりして、実や株の重さから支える柱
誘引:支柱と茎などをヒモなどで結ぶ作業
マルチ:ビニールなどで土を覆うための資材
同じ場所でナス科を続けて育てない
本などから調べた一般的な情報です。ナスは、同じ場所で続けて育てる「連作」をとくに嫌う野菜です。ナス・トマト・ピーマンなどナス科の野菜を3〜4年育てていない場所を選びましょう(サカタのタネ)。広島市の資料では、5年ほどあけるとされています。どうしても同じ場所で育てるときは、病気に強い接木苗を選びましょう。
土壌酸度のpHを6.3前後に調整しよう
ナスは、平均的な土壌のpHを好む野菜です。

市販の酸度計をいろいろと試しましたが、こちらのタイプに落ち着きました!
電池要らずで、穴掘って水いれて刺して測るだけ!
1㎡の面積でpHを0.5上げるには、「石灰」をひと握りまきます。
反対にpHを0.5下げるには、「ピートモス」をひと握りまきます。
酸度調整用として保有していると便利ですよ!
植えつけは4月下旬〜5月上旬が「◎」
ナスの苗は、ホームセンターなどで4月上旬ごろから販売されていますが、あまり元気な苗でないことが多いのと、植えつけたとしても寒さ対策をする必要があるのでご注意ください。
関東の場合でしたら、ゴールデンウィーク頃が1番良い時期です。

| 作業 | 時期の目安(関東) | ポイント |
|---|---|---|
| 苗の購入 | 4月上旬ごろから販売 | 接木苗を選ぶ(早い時期は元気な苗が少ない) |
| 1本目の支柱 | 植えつけ前 | 斜めに挿し、20cmぐらい深く |
| 植えつけ | 4月下旬〜5月上旬(ゴールデンウィーク頃) | ニラと一緒に植える |
| 一番花摘み | 最初の花や蕾がついたら | 2つあればどちらも摘む |
| 2本目・3本目の支柱 | 植えつけから2週間〜1ヶ月 | 第一側枝・第二側枝に沿わせる |
| 水やり | 活着した後も続ける | 朝か夕方の涼しい時に |
| 追肥 | 最初の実がつきはじめた頃から1ヶ月に1回 | 1㎡あたりひと握り(約70g) |
| 収穫 | 大きくなりすぎる前 | きれいなハサミで切る |
苗選びは病気に強い接木苗が「◎」
- 接木苗(つぎきなえ):病気に強い根の台木と実のなる穂木を合わせた良いとこどりの苗
- 実生苗(みしょうなえ):種から育てた苗(販売店では接木苗より安価)
良い苗選びの特徴をまとめてみました。全部は難しいと思いますがご参考ください。

- 茎がズッシリとした太い苗
- 本葉が7枚以上ある苗
- 花や蕾がある苗
- 葉の面積が大きい苗
- 濃い緑色の葉をした苗
- 葉に厚みのある苗
- 子葉(双葉)がある苗
- 害虫に食べられた跡がない苗
- 節間が詰まった苗
- 接木苗(つぎきなえ)のもの
接木苗がわからない場合は、お店の人に聞いてみると教えてくれますよ!
ニラと一緒に混植しよう
植えつけ手順!






ニラと一緒に混植をする理由は、ナスがかかりやすい病気から守るためです。
ニラの根に共生する微生物が、ナスの病原菌を減らす役割をしてくれると言われています。
※ニラの代わりにネギでもOK!

キュウリなどウリ科の野菜とナスの相性も、上の相性一覧の記事にまとめています。
一番花を摘んで不要な養分を断とう

写真のように2つ花や蕾がある場合は、どちらとも摘みましょう。
涼しい時間帯に水やりしよう

苗を植えつけて、活着(根づくこと)するまで水やりした後も、引き続き朝もしくは夕方の涼しい時に水やりしましょう。
実のつやがない?水が足りないときのサイン
本などから調べた一般的な情報です。
- 実のつやがなくなる(サカタのタネ)
- 育ちが悪くなり、収穫が減る(サカタのタネ)
- 葉の裏につく小さな虫「ハダニ」が増える(サカタのタネ)。ハダニは記事の後半で紹介します
- 夏の暑く乾く時期は、株元に敷きわらをして土の乾きを和らげる(広島市)
主軸と側枝2本の3本仕立てで支柱を立てよう

一般的にナスの支柱立ては、3本仕立てが多いかと思います。
ここでも、3本仕立ての支柱立てについてお伝えいたします。
植えつけ場所へ1本の支柱を斜めに立てておきます。
事前に支柱を立てておくと根っこを傷つけなくてすみますよ。**支柱を20cmぐらい深く差し込む**と倒れにくくなります。
**植えつけてから2週間〜1ヶ月ぐらい**経ちましたら、2本のわき芽(第一側枝・第二側枝)を主枝として伸ばします。主枝に沿う形で残り2本の支柱を斜めに立てます。
簡単な3本仕立てのやり方



誘引グッズとして、茎を挟んで支柱へ挟むクリップを使うと管理が楽になります。
これ使ってますが、クリップ力も強く長く使えます。
3本仕立てで残す枝の選び方
本などから調べた一般的な情報です。
- 一番花の下から出る、勢いのよいわき芽を2本選ぶ。これが第一側枝・第二側枝になる(サカタのタネ)
- 主枝(主軸)と、この2本を伸ばす。3本それぞれを支柱に沿わせる
- 2本より下から出るわき芽は、すべてかき取る(サカタのタネ・広島市)
一番花は、主枝の8〜9節目(下から8〜9枚目の葉のあたり)につくとされています(広島市)。
花を観察して追肥を調整しよう

最初の実(一番果)がつきはじめた頃から、**1ヶ月に1回**のペースで、「畝の肩」もしくは「畝の通路」に化成肥料(8-8-8)を1㎡あたり**ひと握り(約70g)**まいて、土と混ぜ合わせます。翌日以降雨が続く場合は、通路にまくだけで土中に肥料が溶け込んでいくので問題ないです。
肥料や水は足りている?花で確かめよう



花のめしべで分かること
本などから調べた一般的な情報です。広島市農林水産振興センターの資料では、良い花はおしべよりもめしべが長いとされています。めしべがおしべに隠れて見えない花が増えてきたら、育ちが悪くなっているサインです。肥料と水やりを見直しましょう。花の咲く位置が枝の先に近づいてきたときも、栄養が足りていないサインとされています。
追肥の間隔の一般的な目安
私は1ヶ月に1回のペースで追肥しています。資料では、もう少し短い間隔がすすめられています。花のめしべを見ながら、間隔を調整しましょう。
| 資料 | 始める時期 | 間隔 |
|---|---|---|
| サカタのタネ | 植えつけから約3週間後 | 3週間おき |
| 広島市 | 実がなり出してから | 20〜25日ごと |
| 私のやり方 | 最初の実がつきはじめた頃 | 1ヶ月に1回 |
大きくなりすぎる前に収穫しよう

きれいなハサミで切り取って収穫しましょう。
オススメの育てやすい品種

栽培後半になると、収穫してもどんどん大きく実をつけて、病気にも強く育てやすい品種です。

収穫の目安は開花から15〜20日
本などから調べた一般的な情報です。
- 花が咲いてから15〜20日ほどが収穫の目安(サカタのタネ・広島市)。広島市の資料では、重さ80gほど
- 最初の1〜3個や、実がたくさんついたときは、小さめに採ると株の負担が減る(サカタのタネ)
- 大きくしてから採ると株の勢いが落ち、その後の収穫が減る(広島市)
- 朝の涼しいうちに採ると日持ちがよい(サカタのタネ)
夏に株が疲れたら切り戻して秋ナスを
本などから調べた一般的な情報です。夏の暑さで株が疲れ、実が減ったりつやが落ちたりしたら、枝を切り戻す「更新剪定(こうしんせんてい)」をすると、秋にまた収穫できます。
- 時期:7月末ごろ(広島市)
- 切り方:3本仕立てにした枝を、それぞれ3分の1くらい残して切る(広島市)
- その後:20〜30日ほどで、また収穫できるようになる(広島市)
かかりやすい病気と害虫の情報
ナスにかかりやすい病気と害虫の情報を、多くの本などから調べてまとめてみました。
本などから調べた一般的な情報です。葉や実の様子から見当をつけられるように表にしました。
| 名前 | 見分け方 | 発生時期 | 被害部位 |
|---|---|---|---|
| ワタアブラムシ | 1〜2mmの虫が葉裏に群がり、新しい葉が縮れる | 5月〜11月 | 花、茎、新芽、葉 |
| うどんこ病(病気) | 葉に小麦粉をまぶしたような白いカビ | 5月〜10月 | 葉 |
| オオタバコガ | 果実にまるい穴があく | 6月〜10月 | 果実、茎葉、蕾 |
| ニジュウヤホシテントウ | 葉が裏から網の目状に食べられ、赤褐色に黒い斑点の虫がいる | 5月〜10月 | 葉、果実 |
| 青枯病(病気) | 日中にしおれ、朝夕に戻る。やがて緑色のまま枯れる | 暑い時期 | 株全体 |
| ハダニ | 葉の表がかすれたように白く抜ける。葉裏に0.5mm以下の虫 | 夏に暑く乾く時期 | 葉 |
群生して吸汁する害虫!ワタアブラムシ

1〜2mmぐらいの虫が葉裏に群がり、新しい葉が縮れる
5月〜11月
花、茎、新芽、葉
- 日頃から新芽や花を観察し、見つけ次第ブラシなどで取り除いて潰す
カビによる伝染病!うどんこ病
梅雨時期から夏にかけて多く発生するので、株間をあけ、風通しの良い環境を整えましょう。

葉に小麦粉をまぶしたような白いカビが生える
5月〜10月
葉
- 被害を受けた葉は、早めに取り除き、他への伝染源を断つ
- 重曹と水に、オイルや食酢を混ぜたものをスプレーする
- 効果大:重曹(1g)+水(500ml)+酢(20ml)+植物性オイル(50ml)
- 効果中:重曹(1g)+水(500ml)+酢(20ml)
- 効果小:重曹(1g)+水(500ml)
食害性害虫!オオタバコガ
生長するにつれ、新芽、蕾、そして果実に穴をあけて食害します。

果実にまるい穴があいている
6月〜10月
果実、茎葉、蕾
- 葉の先端が萎れていないか観察する
- 葉に食べた痕跡や糞がないかを観察する
- 幼虫を見つけ次第、捕殺する
- オオタバコガが侵入しないようにネットなどで花を覆い、口を結ぶ
- 果実に穴があいている場合は摘み取り、中に幼虫がいたら捕殺する
- 幼虫がいない場合は、周辺の果実を観察して幼虫を発見して捕殺する
実の穴の数で、中の幼虫を見分ける
本などから調べた一般的な情報です。島根県の資料(ピーマンのタバコガ類)では、幼虫は実に入る穴と出る穴の2つをあけるとされています。
- 穴が1つ:中に幼虫がいる可能性が高い。実を割って確かめる
- 穴が2つ:幼虫はもう出ている。近くの実に移っていないか探す(1匹が何個も実を渡り歩く)
- 被害は6月下旬から見られ、8月〜9月に多い
てんとう虫ではない!ニジュウヤホシテントウ
テントウムシ(益虫)に似ているが、よく観察すると違うので注意しましょう。

葉の裏側から、さざ波のような網の目状に食べられた跡がある。赤褐色で黒い斑点があるテントウムシに似た虫がいる。
5月〜10月
葉、果実
- 収穫後の植物の死骸は、早めに処分する
- 冬場の落ち葉の下などで越冬するので、畑周りの落ち葉などを掃除する
- 葉や果実をよく観察し、成虫・幼虫・卵(黄色い卵が葉裏にかたまって産みつけられる)を見つけたら退治する
細菌が原因!青枯病
株が急に元気をなくし、緑色のまま葉がしおれて枯れてしまう病気です。土の中の細菌が根から入ります。
- 症状:日中に株の先や葉がしおれ、朝夕や曇りの日には一時もとに戻る。これをくり返し、やがて緑色のまま枯れる(島根県。同じナス科のトマトの資料)
- 見分け方:地際の茎を切って水につけると、切り口から白いすじのような汁が流れ出る(島根県)
- 出やすい条件:気温30℃以上の暑い時期、水はけの悪い畑。根の傷から入る(島根県)
- 被害部位:根、株全体
- 予防方法:接木苗を植える。ナス科を3〜4年育てていない場所を選ぶ(サカタのタネ)。高畝などで水はけを良くし、根を傷つけない
- 対処方法:発病すると治せない。株を抜き取って処分する(サカタのタネ)
同じように、株を抜いて処分するしかない土の病気に「半身萎凋病(はんしんいちょうびょう)」もあります(サカタのタネ)。
吸汁性害虫!ハダニ
葉の表面が、かすれたように白く抜けてきたら「ハダニ」を疑いましょう。0.5mm以下ととても小さく、葉裏で汁を吸います。
- 症状:葉の表がかすり状に白く抜ける。下の葉から上の葉へ広がり、多いと株全体の葉が白くなる(島根県)
- 発生時期:夏に暑く乾いた日が続くと増える(島根県)
- 被害部位:葉。花の時期に増えると花が減り、実が太らない(島根県)
- 予防方法:水やりを切らさない(水不足で増える。サカタのタネ)。夏は株元に敷きわらをして乾きを和らげる
- 対処方法:葉裏をこまめに見て、増える前に気づく
まとめ
- 準備:1条植えで畝幅60cm、株間60cm以上。ナス科を続けて育てた場所は避ける
- 苗と植えつけ:接木苗を選び、関東ではゴールデンウィーク頃にニラと一緒に植える
- 一番花と水やり:一番花は摘む。水は朝か夕方に切らさない。足りないと実のつやがなくなる
- 3本仕立て:一番花の下から出る勢いのよいわき芽2本と主枝を伸ばし、支柱に沿わせる
- 追肥:最初の実がついたら追肥を始める。めしべが隠れる花が増えたら、肥料と水を見直す
- 収穫:開花から15〜20日が目安。大きくしすぎない。夏に疲れたら7月末ごろに切り戻して秋ナスへ
- 病気と害虫:急なしおれは青枯病、葉の白いかすれはハダニ、実の穴はオオタバコガ。早めに見つけて対処する
ナス栽培を初めてされる方が、抵抗なく楽しく栽培していただけるように、私の経験から具体的に取りまとめてみました。
これらをご参考いただき、いろいろな栽培方法(土づくりや肥料など)を考えて、家庭菜園を楽しんでくださる方が少しでも増えてくれたら嬉しいです。









